Amazon goが他の”無人化”とは違う訳。そのコンセプトと目的とは

Amazon go(アマゾン・ゴー)とは2016年にamazon.comがオープンさせた食料品店である。人工知能やコンピュータービジョンなどの技術を使い、レジを通すことなく買い物を済ますことを可能にしている。第一店舗をAmazonの社内にオープンさせて以来、2018年12月現在でシアトルに4店舗、シカゴに3店舗、サンフランシスコに1店舗、計8店舗運営している。

ゲートにスマホをかざすだけで決済

買い物の流れを書いてみる。まず店の入口にゲートがあるので、そこにAmazon goのアプリがインストールされたスマホに入店コードを表示し、それをかざして入場、この際入場者の顔がカメラで認証される、そのあとは棚に並んだ好きな商品をとって店を出る。これで買い物完了だ。始めて利用した買い物客からは「万引きしているようでソワソワしてしまう」などの声もあるがゲートを出た時点できちんと決済は完了、Amazonアカウントのクレジットカードに自動で課金され、数分後スマホにレシートが届き金額を確認できる仕組みになっている。

Amazon goのコンセプト

ITの導入により、コンビニなど食料品店の無人化などはこれまでも良く話題に上るようになり、実際に中国ではここ数年で急激に店舗を拡大している。こちらの方は人件費のコストカットが目的なわけで、レジ自体がなくなるわけではない。
Amazon goはこの「レジでお会計をする」という買い物のひとつの項目自体がなくなっている画期的な店舗なのである。「レジでお会計をする」という単一の機能を削減するだけではなく、レジ機能そのものの必要性を無くしてしまい、顧客の体験(=UX)全体を高めているという訳である。

Amazon go1号店にかかったコストだが、センサーなどのハードウェアだけで100万ドルと言われている。コンビニと同じサイズの店舗でこれだけの費用をかけたことからかなり実験的な試みであることが伺えるが、そのコンセプトは「快適な買い物」である。会計の手間がないので混雑せず、自由に買い物だけが楽しめる。好きな商品を選んだらそのまま店を出るだけでいいのだ。(店を出る際はアプリを開く必要もない)
ビジネス街で勤めていると、コンビニがランチタイムになるとギチギチに混み始め、店内がすし詰め状態でとてもゆっくりと商品を選んでいられるような状況じゃない、といった場面によく出くわすが、このようなシーンでAmazon goはまさに真価を発揮するだろう。

顧客データの収集

快適な買い物空間をつくり、顧客を増やす。レジのコストカット。というのはもちろん目に見えて予想できるメリットである(店舗の開発コストを下げることができれば)。しかしAmazonが真に目的とするところは他にあるのではないか。それは顧客データの収集である。Amazon goのシステムから考えると、ダイレクトに正確な顧客情報を集めることが出来ると考えられる。
いつ、どのような人が、どの商品を、どれだけ買ったのか。年齢、性別、家族連れ、あるいは人種までも判別できてしまうかも知れない。このような方法で集められた膨大な量の正確なデータを元に次々とサービスを展開していくとなると、他社がそれに追従していくのは非常に難しいだろう。

[執筆:ミステリー小説家
[最新更新日:2019年2月28日]

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