(前号までのあらすじ)  我孫子市に住む、銀行員である剛は、夢の中で一つの町を築">

木曜ミステリー ツイン・ドリーム 第16話

ツインドリーム第16話

(前号までのあらすじ)
 我孫子市に住む、銀行員である剛は、夢の中で一つの町を築き上げてきた。その町に現れる女性が何かを伝えようとしていると感じた剛は、町は実在するのではないかと考え、ネット検索のサイトに情報を募る記事を投稿した。
 横浜に住むOL美貴は、繰り返し見る夢に悩まされていた。町が実在し、何者かが夢によって何かを自分に告げようしているのではないかと考えた美貴は、大縮尺の地図やネット情報から、ついにあの町を見つけ出す。茨城のI町だった。
 剛の投稿を偶然目にした美貴は、名を偽り、探している町がI町であることを書き込む。その書き込みにより、剛は、車でI町を訪れる。同じ日、美貴も電車で町を訪れたのだった。
 夢の中の女性に導かれるようにして向かった岩場で、剛はついに美貴と出会う。二人は、互いの経験を語り合うなかで、夢は二人の前世の記憶ではないかという仮説に行き着く。
 謎の解明に向け再訪したI町の町役場で、二十数年前に起きた衝撃的な事件についての情報を得た。

渦巻く感情の表現

 何だろう、この粟立つような感覚は。剛は、神経がびりびりと震えているような感覚にとらわれていた。一種の興奮状態にあることは間違いないだろう。しかし、この感覚は、これまでに経験したことがないものだった。
 まずは、幸先よいスタートをきったと言うべきだろうか。I町を訪れた初日に早くも二人が立てた荒唐無稽な仮説において主役となるべき男女、すなわち、自分たちの前世を生きた人物の有力候補を探し当てたのだから。
 が、それでいて、心はどんよりと冷たい泥の中に沈んでいた。二人が敏感に感じ取った、自分たちの前世を覆う暗い陰が現在の二人の心の色を支配していた。それは、決して予期していたものとかけ離れたものではなく、むしろ、やはりそうだったのかという思いの中にあった。
 つまり、想像と現実は別物ということだ。かりに二つが似通った内容のものであったとしても、想像は現実がもつのと同じだけの重さをもたらすことはできないのだ。ただ、それに打ちのめされてばかりいるわけにはいかなかった。この先、同じようなことを何度も経験するに違いないのだ。

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